個人資産にもファシリティマネジメントの発想を

ファシリティマネジメントと個人所有不動産

ファシリティマネジメントとは

ファシリティマネジメントとは、一般的に、企業等の団体が保有もしくは使用する不動産について、その活用法や環境においてコストの削減や有効利用等の最適化を図り、それを維持していくための経営管理手法と捉えられています。その意味で、企業等にとってのファシリティマネジメントは、その所有する不動産を俯瞰し整理することがスタートラインといえます。

個人所有の不動産とファシリティマネジメント

個人で不動産をお持ちの方にとっても、自らの財産内容を俯瞰し整理し、さらには経営的な視点で戦略をもつことは極めて重要ですから、上記のような考え方は参考にできるでしょう。そして、個人の場合には、自らの収益を最大化するだけの問題にとどまらず、相続の観点から、「いかに相続人に不良資産を残さず、優良資産を残していくか」という側面が加わると考えられます。

相続対策の初動として

相続対策と言ってしまうと、とかく「相続が発生するまでにしておけばよいこと」というように後回しに思われがちです。しかし、資産の戦略的な俯瞰・整理、という面では、これを早く始めるに越したことはありません。資産状況を見てどう動くかにあたって、時間が味方になることが往々にしてあるからです。

例えば、不良資産を売却して優良資産に組み替えていくという戦略を考えた時に、不良資産の売却にあたって時間が必要となる可能性があります。また、税金対策という面でも、例えば、資産管理会社の株式を毎年非課税枠の範囲で生前贈与を繰り返しておくといった手法は、早ければ早いほど効果が高まる可能性があるのです。

紛争の防止にも役立つファシリティマネジメントの発想

弁護士をしていると、相続をした土地や建物に関するトラブルのご相談を数多く受けます。そのような時、相続人である相談者が、生前の被相続人と係争物件について緊密に連携しており、情報が共有されていればよいのですが、相続人が何も把握していないというケースが散見されます。また、被相続人の時代に相談を受けていれば、紛争の悪化を防ぐことができたのにと思うケースもあります。

トラブルになりそうな物件を不良資産と考えて処分しておくことも、トラブルの種を摘んで優良資産に変えておくことも、いずれも、まずはトラブルの種の存在を認識することが前提です。 弁護士が遺言を書くことをすすめる理由の項でも書きましたが、個人で不動産をお持ちの方は、ぜひ自らの財産内容を俯瞰し整理してみてください。その際、専門家にも相談しておけば、ご本人が認識していなかったリスクが見つかることもあるはずです。

法律相談のご予約はこちら

メールでのご予約

  • お問い合わせフォームへ