テナント入居・退去時に注意するべき契約条項

オフィスや店舗の移転に際しては、賃貸借契約書についての誤解などが原因で、トラブルとなるケースが少なくありません。そこで、以下では、事業用の賃貸借契約において、店舗や事務所等のテナントが入退去する際、特に注意しておきたいポイントをまとめてみました。

退去予定物件の現行契約について

契約の終了に関する条項をチェック

まずは、解約予告や更新拒絶に関する条項をチェックして、どのような手順でいつ契約を終了させられるのかを確認してください。

居住用とは違い、事業用の賃貸借の場合は、賃貸借終了までに原状回復工事を行う必要(終了前に移転する必要)があるケースが多いため、新契約の動向もふまえたスケジューリングが重要になってきます。

原状回復に関する条項をチェック

原状回復については、退去時に最もトラブルになりやすいポイントと思われます。

見積りを承認して工事が終了した後、敷金が返還されてから工事費用が高いと思っても、取り返しがつかないこともあります。事前に、原状回復の範囲や業者の指定に関する条項も確認しておきましょう。

敷金の返還に関する条項をチェック

入退去にかかるキャッシュフローにも影響すると思われるので、敷金の返還時期及び返還額に関する条項も確認しておきましょう。

賃料不払等の債務不履行がなければ原状回復費用を差し引いた額が返還されるのが通常ですが、償却等の条項がある場合もあります。

移転先物件での新契約について

定期借家契約か普通借家契約か

物件を強く気に入ってしまい定期借家でもやむを得ない場合もあるでしょう。しかし、賃借人の保護という面では、やはり違いがあります。

定期借家契約であれば、期間満了後に再契約できないリスクや、再契約時の賃料増額リスクも織り込んで、事業計画や契約条件の検討をしておきたいところです。

使用目的や内装工事について

使用目的や方法、また、どのような内装にするかについては、契約交渉段階から、オーナーのコンセンサスを得るよう努めることがトラブル防止につながります。

最悪の場合、用法違反を理由とする賃貸借契約の解除ともなりかねない部分ですので、しっかりと対応するようにしましょう。

修繕義務・原状回復の範囲を確認

上記でも述べたとおり、原状回復の範囲は退去時にトラブルになりやすいので、契約段階で認識を明確にしておくことが望ましいです。

居抜き物件等、造作のある状態で物件の引渡しを受けるケースでは、特に明確にしておくべきと考えます。

合意の書面化を意識する

物件の所有権が移転すれば、賃貸人の地位も移転するのが原則です。所有者が同一でも担当者の変更は起こりえます。

そのような時にトラブルにならないよう、入退去時に限ったことではないですが、賃貸人との合意事項は書面で残すよう心がけましょう。

まとめ

以上にみたとおり、事業用物件では、入居・退去時に注意するポイントが居住用物件よりも多くあります。本記事を参考に契約条項を再度チェックし、不明な点がある場合には、弁護士に相談するようにしてみてください。

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