家賃滞納者に出す内容証明は何を書けばよいですか

賃貸のオフィスビルを経営している大家です。テナントとして入居している会社がしばらく家賃を滞納しており、督促状を内容証明郵便で出そうと思っています。書式や文例をみながら自分で作成したいので、家賃滞納者に対する内容証明郵便について教えてください。

内容証明郵便とその役割

内容証明郵便とは

内容証明郵便とは、郵便事業会社(郵便局)が文書の内容を公的に証明してくれる郵便のことをいいます。

家賃滞納事件における内容証明郵便の役割

このような内容証明郵便に賃貸人から家賃の支払催告や解除の意思表示を記載しておくことによって、後に裁判となった場合の証拠として用いることができます。もう少し詳しく言うと、家賃滞納者に対する建物明け渡し訴訟では、賃貸人である家主側から家賃滞納をしていた賃借人に対する支払催告や解除通知をしたことを主張立証することになるのですが、例えばこうした通知を口頭でしたという場合には、裁判の中でテナント側からそうした通知を受けていないという反論されてしまうと、いわゆる「言った、言わない」の水掛け論になってしまう恐れがあります。こうした反論を封じるために、内容証明郵便による通知をしておく必要があるのです。

内容証明郵便には配達証明を

内容証明郵便は、あくまでその内容の文書を差し出したことを郵便事業会社に証明してもらうものであり、その文書が相手方に届いたことを証明してもらうものではありません。したがって、内容証明郵便により出した文書が家賃滞納者に届いたことを立証するためには、別途配達証明を取得しておく必要があります。この配達証明は、内容証明郵便の発送後に別途取得することもできますが(但し、期間制限あり)、内容証明郵便の発送時に郵便局に依頼しておいてください。

内容証明郵便の中身について

賃貸不動産と賃貸借契約の特定

家賃滞納者に内容証明郵便を出すにあたっては、誰と誰との間の、どの不動産に関する賃貸借契約に関する通知であるのかを文書上特定しておく必要があります。この特定を欠いてしまうと、後に「どの物件についての通知か不明だ」などとして解除の効力を争わることにもなりかねません。賃貸借契約書をよく確認して賃貸物件や賃貸借契約日(あるいは更新日)などを明示しておくとよいでしょう。

滞納家賃の支払催告

家賃滞納者に対し、滞納中の家賃の支払いを催告する内容を盛り込みます。何年何月分から何月分まで合計●円などと計算しておくと丁寧ですが、ここで計算を間違えると後に面倒な反論を許すことにもなりかねませんので、滞納額は何度も確認してから記載するようにしてください。また、通常7日程度の期間を設定し、その催告期間内に全額を支払うよう求めるのが一般的です。

解除の意思表示

家賃滞納者との賃貸借契約を解除したい場合には、催告期間内に滞納家賃の支払がない場合には賃貸借契約を解除する旨の意思表示を盛り込んでおくとよいでしょう。もっとも、戦略的に、当初の催告書面にはこのような解除の意思表示を盛り込まず、催告期間経過後に別途通知するという方法もあり得ます(どのようなケースでこうした方式を取るべきかはご相談ください)。

内容証明郵便の出し方と費用

内容証明郵便の出し方としては、受取人に送付する内容文書及びその謄本を郵便局に自ら持ち込んで出す方法と、パソコンを使って電子内容証明の方式で出す方法とがあります。郵便局に文書を持ち込む場合、文書の行数や字数などの書式について一定の制限がありますので、以下のサイトなどで事前に確認してから文書を作成するようにしてください。また、内容証明郵便を出すためには通常の郵便料金とは別に費用が必要となりますのでこちらも併せて確認しておくとよいでしょう。

内容証明郵便の発送のための参考サイト

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