借地契約の更新後の建物の再築の許可

借地契約の更新後の建物の再築に関するルール

借地上の建物の再築に関しては、借地権設定当初の存続期間内の再築か、更新後の再築かで借地借家法の規律が異なります。まず、借地権設定当初の再築の場合、地主の承諾が得られるか、借地借家法7条2項によるみなし承諾があるときは、建物滅失後新たな建物が築造された日または承諾のあった日のいずれか早い日から原則20年間借地契約が法定更新されます(借地借家法7条1項)。これに対し、更新後の再築の場合、地主の承諾が得られた場合は同様の取り扱いとなりますが、借地借家法7条2項のみなし承諾の制度は適用されない上、地主の承諾なく残存期間を超えて存続すべき建物を再築したときは地主側から借地契約を解約できるという規定が設けられています(借地借家法8条2項)。このように、借地契約更新後の建物の再築関しては、地主の承諾なく再築を実行すると借地権を失う結果ともなりかねませんので注意が必要です。

借地契約の更新後の建物の再築の許可制度

更新後の借地における建物の再築については、借地借家法18条1項前段が、「契約の更新の後において、借地権者(借主)が残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者(地主)がその建物の築造を承諾しないときは、借地権設定者が地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる」定め、借地権設定者の承諾がなくとも裁判所の関与により再築を可能とする制度をもうけています。

更新後の再築許可が認められる場合とは

借地契約更新後の再築許可が認められるかどうかは、上記のとおり、当該再築について「やむを得ない事情」があるかどうかによって判断されます。この要件は、増改築許可の場合の「土地の通常の利用上相当とすべき増改築」などよりは厳格なものとされ、借地権者が建物を再築せざるをえない理由が、地主が再築の承諾を拒む理由より強い状況が必要であると考えられています。裁判所はこの点を、建物の状況、建物が滅失に至った事情、借地に関する従前の経過、当事者が土地の使用を必要とする事情などを考慮して総合判断するということになります。

再築承諾料

借地借家法18条1項後段は、再築の承諾に代わる許可の裁判をする場合についても「当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、延長すべき借地権の期間として第7条1項の規定による期間と異なる期間を定め、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる」と定めています。この「財産上の給付」が、一般に再築承諾料と言われるものです。再築承諾料の支払は、借地権譲渡承諾料や条件変更承諾料の場合と同様、更新後の再築承諾に代わる許可を認めるかどうかの判断の補完要素となります。
では、更新後の再築承諾料の金額はどのようにして決められるのでしょうか。借地借家法は、この更新後の再築承諾料の判断についても、建物の状況、建物が滅失に至った事情、借地に関する従前の経過、当事者が土地の使用を必要とする事情などを考慮すべきことを定めています。また、鑑定委員会の意見を聴取することになっている点もほかの承諾料の場合と同様です。
ちなみに、更新後の再築承諾料の相場については、事例の集積をまつ必要がありますが、一般の増改築許可の場合よりも高く、借地条件変更の場合の承諾料に近くなると考えられます。

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