土地収用法
土地収用法に基づく土地の収用に関する基本的知識を解説します。
土地の収用とは
土地の収用とは、公共の利益となる事業の用に供するため、土地収用法に定める手続に従って、土地や賃借権等の権利を、国や地方公共団体等に強制的に取得させることをいいます。具体的には、道路、河川、鉄道、航空、港湾、学校等に関する事業が、収用することの可能な公共の利益となる事業(収用適格事業)として、土地収用法3条に列挙されています。
土地収用に関わる当事者
土地収用に関わる当事者としては、次のような者があります。
起業者
起業者とは、土地・権利等の収用をする公共事業を行う者(収用者)のことです。具体的には、国・都道府県・市区町村などです。
土地所有者
土地所有者とは、収用の目的となる土地の所有者をいいます。
関係人
関係人とは、土地に関して賃借権等所有権以外の権利を有する者や土地上の物件について権利を有する者で、収用について利害関係のある者をいいます。
補償に関する原則
起業者が収容によって土地所有者や関係人に対する損失補償をするときは、次のような原則があります。
個別払の原則
個別払いの原則とは、起業者が行う補償は、原則として各人別に行われるという原則のことです。ただし、例外として、補償額を各人別に見積ることが困難であるときはこの限りでないとされています。例としては、土地に抵当権者が設定されている場合などが挙げられます。
金銭払の原則
金銭払いの原則とは、公共用地の取得にともなう損失の補償は、原則として金銭で行われるという原則をいいます。ただし、例外として、収用委員会の裁決があった場合には、替地による補償や、移転の代行による補償など、その他の補償方法が認められることがあります。
起業利益との相殺の禁止
起業利益との相殺の禁止とは、同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用する場合に、当該土地を収用する事業の施行によって、残地の価格が増加する等、残地に利益が生ずることがあっても、その利益を収用によって生ずる損失と相殺してはならないというルールです。